#185 日本でたった一人の男性芸者 ~亡き母と歩む茨の道~

2019年8月24日(土)(テレビ朝日 放送) テレビ朝日制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

東京都品川区大森海岸。明治時代、ここは多くの芸者がいる いわゆる「花街」であったと知る人はもう少なく…
そんな消えゆく花街の灯を守り続けようと奮闘する一人の芸者がいます。
名前はまつ乃家 栄太朗さん。彼はなんと日本でたった一人の男性芸者です。

母であり初代女将であるまりこさんの手伝いとして栄太朗さんは10歳からお座敷に立っていました。


男性でありながら女性の世界で働くことへの葛藤を抱えはじめたころ、母まりこさんががんで亡くなってしまいます。考える間もなく、まつ乃家を二代目女将として背負うことになった栄太朗さん。

そんな栄太朗さんを支えていたのは「難しいか簡単なら難しい道を選びなさい」というまりこさんの言葉でした。廃れゆく文化、そして女性の世界という険しい道を歩む決意を支えている大切な言葉です。


芸歴は長くとも年齢はまだ33歳。女将として学ぶことはまだまだたくさんあります。文化を守るためには変わりゆく時代の流れに合わせていかなければ・・・栄太朗さんの挑戦はつきません。
「辞めるのは簡単だから、辞めない」
そう呟く唇に紅を引く彼の姿からは女性の艶やかさと男性の強さの両方が感じられます。
彼の弱さと強さ、どちらも感じられる奮闘物語です。

編集後記

ディレクター:小俣茉央(テレビ朝日映像)

私が栄太朗さんと初めてお会いしてお話をした時、彼はとても強く心が折れたことがない人なのではという印象を受けました。
しかし実際はそんなことはありませんでした。栄太朗さんに強い方ですねと声をかけたときに「全くそんなことはない」と言われました。プロデューサーにも、もっと長く生きている先輩方にも「そんな強い人ではないんじゃない」と言われました。

栄太朗さんは一人の33歳の男性でした。
ただ、ふつうではない人生を歩んでいます。
まず23歳の頃、母親を亡くしています。今の私と同じ年齢の時です。母を亡くす、映画やドラマでは悲しいねという話ですが栄太朗さんのように「生きている」方には悲しんで落ち込んでいる暇などないのだとショックを受けました。
次に芸者です。そして男性芸者です。

どちらも私の知らない世界でした。
知ろうと知識をつけてわかることではなかったです。

でも栄太朗さんはいつも前を向いていました。取材中、カメラが回っていない時でも後ろ向きな発言は一度も耳にしませんでした。誰もわからない痛みを日本でたった一人で抱えている栄太朗さんはやはり強い人だと私は感じます。

「男性とか女性とかではなくて栄太朗さんという性別がそこにあるというか…」
取材している中でまつ乃家のかかえさん(お弟子さん)が言った言葉です。
この言葉の意味をこの作品を見て、確認していただければと思います。
そしてまつ乃家のお座敷に足を運んでみてはいかがでしょうか…

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
お寄せいただいたコメントにはすべて目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
なお、企画提案、商品宣伝、イベント告知等に関する投稿は固くお断り申し上げます。

※ 記入欄に、お住まい(都道府県)もご記入いただければ幸いです(任意)