
岡山県瀬戸内市、田園風景が広がる町に「日本一のだがし売場」と掲げ、人気を集めている会社があります。株式会社大町(おおまち)です。
もともとはお菓子の卸問屋でしたが、2011年に店舗の一角で始めた”だがし”の直売が口コミで評判となり、今や年間70万人が訪れる人気スポットになっています。
広大なスペースにだがしや一般のお菓子など3000種類が並ぶ中、独特なのがその売場作り。 
商品は子ども目線で陳列されているだけでなく、1個1個に値段シールがついていて、すべて税込みの10円単位。つまり子どもでも計算がしやすいんです。非効率な事をいとわず、「子どもが笑顔になる」ことを追求しての結果でした。
社長の秋山秀行さん(61)、月に一度のイベントでは「だがしおじさん」に扮し、だがしにちなんだ紙芝居で子ども達を楽しませています。
実は秋山さん、今から4年前にだがしメーカーや卸売り店など協力者とともに「DAGASHIで世界を笑顔にする会」を結成し、日本独自のだがし文化を日本国内だけでなく、世界へも発信し、平和の礎にしたいと考えています。
そんな中、だがしを巡る新たな危機が訪れているのです。だがし、そして笑顔のチカラを信じる秋山さんたちの姿を追いました。
編集後記
プロデューサー・ディレクター:松村文彦(西日本放送)
主人公の秋山秀行さん(61)が、とにかくこだわっているのは、「子どもたちの笑顔」。笑顔のための売り場を作り、笑顔のために行動し、笑顔とだがしを交換します。そしてだがし店を営む秋山さんの会社スタッフもみんな笑顔いっぱいです。
その「笑顔」こそが、いろんな失敗を経て辿り着いた答えだったのです。取材でも秋山さんたちがそこに至った子どもたちの「笑顔力」を少しでも表現できればと、日々売り場や、会社内で見つめ、ありったけの笑顔を番組内に盛り込みました。
笑顔ってほんの一瞬ですが、人間にとって非常に普遍的で、本能的な事です。その刹那によって生み出されるチカラを、少しでも皆さんと共有できたらと思っています。
そして、他のお店がやっている効率的な経営ではなく、あえて非効率でアナログな経営を行うなど、秋山さんはこれまでの常識を「捨てる」という決断を下しました。
既存の価値観を捨てたことで、「戦わない」、「比べない」という道を歩む秋山さんたち。楽しさとともに“だがし”を通しての「世界平和」、そして元気な子どもたちを育む「地域づくり」を目指しています。