富山県富山市にあるミズノマシナリーは、アルミの削り出し加工を専門に行うメーカーです。複雑な加工や高精度な加工を得意としており、半導体や航空宇宙関連など様々な分野の精密部品を作っています。

会社が8年前から行っている「ものづくりコンテスト」では、社員が自由に作りたいものを作り、毎年ユニークな作品が発表されます。このコンテストで去年優秀賞に選ばれたのが、入社10年目、加工グループのリーダーを務める清水優さん。今年も入賞を目指して、新たな挑戦をします。それは、普段は別の部署が行っている加工プログラムの作成。3Dモデルを作り、それをもとに加工のシミュレーションをします。

使う加工機は「同時5軸加工機」。工具が前後・左右・上下に動くのに加え、自由な角度に傾き、台座が旋回する、国内にまだ1割ほどしか導入されていない最先端の機械です。従来の加工機に比べ、複雑な形状を短時間で加工することができます。工作機械のおよそ3割に5軸加工機を導入しているミズノマシナリーでは、この機械を使いこなせる人材の育成に力を入れています。年々若い社員が増えるミズノマシナリーで、リーダーを務める中堅として重要な位置にいる清水さんは、若手の育成にも奮闘しています。

少量多品種生産で、日々異なる製品を作っているミズノマシナリーでは、状況に応じて仕事を分担し、会社全体がチームとなって連携しています。アルミの専門家として、顧客から様々な相談を受けるのが営業チーム。製造現場も一緒になって、難しい課題解決につなげています。
コンテストの結果はどうなるのか、そして清水さんの挑戦は続きます。
編集後記
ディレクター:西方麻奈美(北日本放送)
富山県はお米やチューリップなど自然豊かな田舎のイメージがあるかもしれませんが、実はアルミ加工をはじめ、ものづくりが盛んなんです。ロケ先になったミズノマシナリーが行っているものづくりコンテストの作品はどれもユニークで美しく、アルミってこんなに美しい金属なんだと気付かされます。技術の高さがうかがえる繊細な加工面もさることながら、ハイヒールや象など、社内コンテストならではの自由なアイデアが見どころです。中には、実際に使えるものやシリーズものの作品もあり、見ていると自分も作ってみたくなりました。このコンテストで、普段の業務ではやらないことに挑戦して優秀賞を獲得した清水優さん(32歳)。そうした新しいことに思いっきり挑戦できる環境が、社員のスキルアップや創作意欲を後押ししています。
今回取材した清水さんは、ものづくりにまっすぐに取り組むエンジニアであり、仲間思いでとにかく優しいリーダーです。エンジニアとして自身の技術を磨きながら、チームを引っ張っていける理想のリーダーを目指して奮闘しています。そんな清水さんを支えるのが、上司や先輩たち。若い社員が多いミズノマシナリーでは、会社を引っ張るリーダーたちも同世代が多く、お互いに相談しやすい間柄。会社を良くしていきたいという想いをみんなで共有し、営業と現場が一体となって課題を解決しています。アルミの専門家として顧客からの期待に応え続けられるのは、優れた機械だけなく、人の力、このチームワークの強さなんだと感じました。
清水さんが最後に語る「作業一つ一つは苦しみ、だけど完成した時の喜びを知っているから、そこに向けてなら頑張れる」という言葉は、ものづくりに打ち込む人の多くが共感する言葉なのではないでしょうか。一所懸命な清水さんの姿に、挑戦し続ける企業の姿に、ものづくり、あるいは人づくりの“チカラ”を感じて頂けたら幸いです。