#307 おっちゃんたちの夢~祇園祭 196年ぶりに復活する鷹山

2022年07月09日(土)05:20~05:50(テレビ朝日 放送) ABCテレビ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

日本三大祭りのひとつ、京都・祇園祭。なかでも祭りを鮮やかに彩るのが山鉾巡行(やまほこじゅんこう)。この夏、196年ぶりに山鉾巡行に復活する町が鷹山(たかやま)です。
鷹山は江戸時代の大雨により破損、さらに幕末に起きた蛤御門の変での大火事で焼けてしまいました。10年前、地元の有志たちが立ち上がり、曳き山を再建、お囃子を復活させ今年の山鉾巡行への参加を目指しています。

祇園祭は平安時代、京都で流行した疫病の退散を願ったのが起源。そして疫病退散に欠かせないのがにぎやかな祇園囃子。お囃子の調子は、京都に生きる人々の体内時計のようにあるもの…京都の夏にとっては当たり前の音色です。

譜面も資料も失っていた鷹山のお囃子を、いちから作り上げたのが西村健吾(にしむらけんご)さん。京都で育った西村さんは幼い頃からお囃子に夢中。10歳で近くの町のお囃子に参加して以来、祇園祭が生活の一部になっているほどの、お祭り男です。
お囃子の復活にあたり、西村さんが最初に誘ったのは幼なじみの遊び仲間・徳田隆行(とくだたかゆき)さん。西村さんと徳田さんは大の仲良し。ただ、徳田さんは、いくら西村さんの誘いでも、最初はお祭りに興味がありませんでした。それでも、持ち前の明るい性格を生かし、囃子方に憧れる子どもたちの教育係として大活躍。西村さんの夢のために、今や囃子方の復活劇に欠かせない存在です。

この夏、江戸時代以来の復活を果たす鷹山。たくさんの人が集まり、それぞれの生活、人生をおくりながらも、みんなが同じ方向を向いて、ひとつのものを作り上げていく…。196年ぶりに祇園祭に復活する鷹山。大きな夢をかなえる、おっちゃんたちの物語です。

編集後記

ディレクター:喜多貴嗣(ABCテレビ)

196年ぶりに祇園祭に復活する「鷹山」と出会ったのは3年前の2019年。報道カメラマンとして、「196年ぶり」という数字に興奮し、その瞬間になんとしても立ち会ってみたいという一心で、取材を始めました。

取材をしていくと、「196年」という数字を意識しているのは、私だけ。歴史や文化は創ろうとしてできるものではありません。祭りに携わる皆さんは、ただ目の前にあることに熱中し、志を同じくしたものが集まり、みんなで楽しむ。

その光景は、まるで「おっちゃんたちのクラブ活動」のようでした。

祭りに対するかかわり方は人それぞれ。それでも、仰ぎ見る先は一緒の場所。

同じ時代、同じ地域にたまたま生きた人々が集い、ひとつのものを作り上げる。「ご縁」というものなのでしょうか。人生って、そんなことの連続なのだなと感じました。

 興味深かったのは、お祭りに取り組むみなさんは、お祭りそのもの以上に家族や仲間、さらには取材者である我々のことでさえ大切にしてくれます。

「せっかく一緒にいるのだから、ぜひ一緒に」

お祭りが続いているのは、そんな人間の当たり前の気持ちの結晶です。ほんの少し、そばにいる人のことを思ってあげる。豊かな人生を送るヒントがそこに隠されています。

ふと思えば、報道カメラマンとして、このタイミングで鷹山に出会えたのも「ご縁」があったからこそ。取材者として、ともに歩きます。

196年間、お休みをしていた鷹山。その復活は、同時に新しい鷹山の出発でもあります。これから、果てしない時間が巡っても、鷹山のまわりには、いつまでもたくさんの人々が集まり、賑やかなお祭りが続くでしょう。

番組情報

公益財団法人 鷹山保存会
【HP】https://www.takayama.or.jp/

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