#377 新しい漁師のリーダーズ

2024年02月17日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 山陰放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

令和の時代「魚を獲る」だけが漁師じゃない!「獲って・作って・売る」を実践する、島根の“新しい漁師のリーダーズ”!その奮闘の日々を追います。

島根県松江市、日本海に面した小さな漁村・御津(みつ)地区。ここで、定置網漁を行いながら、魚の販売から加工品づくりまでおこなう会社「御津フィッシャーマンズファクトリー(略してM.F.F.)」に従事する漁師たちがいます。会社を立ち上げたのは、御津生まれ御津育ちの小笹伸一朗(おざさ・しんいちろう)さん(36)。祖父の代から漁師の家庭で、漁業は生活の一部のように育ちました。しかし漁師の高齢化や担い手不足といった問題から背を向け、当初は保育士の道へ。しかし、意気消沈していく地元漁師の姿や漁村が消えてしまう危機を前に、
自らが地域のために漁師になることを決意、8年前転職しました。

旧態依然とした漁業のスタイルに戸惑いながらも、これを変えていけば、むしろ「伸びしろのある業種」ととらえ、在庫管理から漁の進め方までとことん見直し。その先に「もっと消費者のニーズに応える、もっと稼げる漁師になろう」と、M.F.F.を2022年、立ち上げます。小笹さんは、その志で同世代から10代までの若者を次々と漁師にスカウト。そのなかで、元警備員や元介護職員など4人の転職組の漁師たちがM.F.F.の中心メンバーとして働いています。毎朝4時からの定置網漁が終わったあとが、M.F.F.の仕事。スーパーでの鮮魚販売に、居酒屋との直接取引。干物や、地元に伝わる「サバの塩辛」の製造。さらに朝市で海鮮丼を提供。漁師も料理も素人からのスタート。失敗を繰り返しながら、転職者ぞろいのリーダーズは、次第に仕事の責任や喜びを見い出していきます。

編集後記

ディレクター:八幡真和(山陰放送)

定置網漁の漁労長と、起業した会社の社長業。二足のわらじで、どちらもリーダーをつとめる小笹さん。その両方に対しても、全力かつ丁寧に向き合う姿が印象的でした。

漁では、スカウトしてきた若手漁師たちに対して丁寧に指導。マニュアル的ではなく「なぜそれをやるのか」「今はどちらが優先なのか」など自分たちで考えることを促す。10代でも能力があればどんどん仕事をまかせ、ときには30代とも競わせて切磋琢磨することで全体のレベルアップをはかる。一方で、天候・売り上げ・市場の動向などを見極めて、休める時には休漁の日をつくる。

MFFの活動では、人見知りなメンバーにも屋台での接客を経験させ、消費者とふれあう喜びを知ることで、漁師という仕事に対してのやりがいや誇りを生み出す。そこにはまさに、令和の「新しい漁師のリーダー」像がありました。

そんな牽引役の小笹さんとは対照的に、シャイで控えめな方が多いMFFのメンバー。慣れない仕事に戸惑ったり失敗したりしながらも、つねに真摯に取り組む姿勢は共通していました。取材でその心中を語っていただくのはなかなか難しかったですが、小学校の出前授業でのスピーチで、仕事に対する誇りをひとりひとりが堂々と語る場面に立ち会うことができ、このシーンを番組のクライマックスにしようと決めました。

何の仕事であっても、目の前のことに真摯に向き合うことで、人は成長できる。当たり前かもしれないけれど、誰もが実践できるわけではない。そんな大切なことを、MFFの皆さんに教えていただいた思いです。番組をご覧いただいた方にも伝われば幸いです。

番組情報

御津フィッシャーマンズファクトリー
https://mitsufishermansfactory0303.co.jp/

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