#417 100年先に残す絵本を作ろう~阪神淡路大震災から30年~

2025年01月18日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) ABCテレビ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

神戸の絵画教室「アトリエ太陽の子」では、毎年「震災・命の授業」が開かれています。

1995年117日午前546分、阪神淡路大震災。死者は6434人。生きたくても生きられなかった人たちは、どんな思いで亡くなったのか。もしも自分や家族だったら。想像力を使って頭に浮かぶ姿や光景を「絵」に描きながら、子どもたちひとりひとりが命と向き合っていく授業です。指導しているのは、画家の中嶋洋子さん(72)。阪神淡路大震災でアトリエの教え子2人を亡くした中嶋さんは、震災を知らない子どもたちに向けて、自身も経験した当時の様子をありのままに語り、震災の記憶を「絵」を通して、伝えています。

2022年の冬、「アトリエ太陽の子」の子どもたちによって、1冊の絵本を作る取り組みが始まりました。絵本のモデルとなったのは、震災当日に生まれた中村翼さん(30)。翼さんの両親は、神戸市兵庫区で被災。余震が続く中、多くの人に支えられながら、ライフラインが途絶え、半壊状態の病院で翼さんを出産しました。

2024年の暮れ。阪神淡路大震災30年の節目に合わせて、震災を経験していない219人の神戸の子どもたちが2年間をかけて描いた絵本「ぼくのたんじょうび」が完成し、書店に並びました。

それは、子どもたちが、未来の子どもたちへ語り継ぐ震災の記録です。命の尊さを子どもたちに伝え続けた画家・中嶋洋子さん(72)が、アトリエの子どもたちにたくした思いとは。
震災の記憶を語り継ぐ画家と子どもたちの物語です。

 

 

編集後記

ディレクター:喜多貴嗣(ABCテレビ)

1995年1月17日午前5時46分、未明の大都市を襲った「阪神淡路大震災」。6434人の尊い命が奪われました。犠牲者のほとんどが、建物の倒壊による圧死でした。
あの日から30年が経ちました。今や、神戸に住む人の半分以上は震災を経験していないといわれています。

はじめて、アトリエを取材したとき、震災を経験していないはずの子どもたちが、想像力を使って描く絵に圧倒されました。子どもが持っているチカラは、とてつもなく大きい。ただ、それを引き出すのは、まわりにいる大人のチカラなのだと思います。大人が真剣に語りかけると、子どもの目も輝きます。子どもは大人の言葉を正面から真摯に受け止めます。子どもの姿は大人の鏡。

自分が信じている想いを、目の前のだれかに一生懸命に伝え続ける。無視されるかもしれない。響かないかもしれない。それでも、自分の信じる想いを人に語り続ける。
人と人で生きていく毎日で、一番大切なことなのかもしれません。

アトリエの子どもたちを輝かせている中嶋洋子先生のような大人になりたいと強く思えた取材の日々でした。

番組情報

アトリエ太陽の子
【住所】〒658-0051 神戸市東灘区住吉本町2丁目17-17 プラム住吉2B
【電話】078-858-7301
【メール】sun_nakajima@yahoo.co.jp

絵本『ぼくのたんじょうび』
※兵庫県内のジュンク堂書店の5店舗(三宮店・三宮駅前店・神戸住吉店・舞子店・西宮店)で販売中。販売期間は未定。

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