#451 甘い魔法にかかったボク~老舗人形店 若き四代目

2025年11月15日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 四国放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

かつて、徳島県の空から聞こえてきた女性の声。「こんにちは~!こちらは山川町、忠義堂人形店でございます♪」。小型飛行機を飛ばして空から行う“宣伝飛行”。なかでもおなじみだったのが、吉野川市山川町の忠義堂人形店の宣伝。

創業108年を迎える老舗人形店を支えるのは、四代目の麻野貴裕さん(35)。
甘い甘い魔法にかかったボクは…カラフルな君に心を奪われ、ココロとけていく”。自身がプロデュースしたひな人形にポエムをつけて、SNSで発信…ちょっと不思議な男性です。老舗人形店の一人息子として生まれた麻野さんは大学卒業後、夢だった航空業界へ就職、羽田空港で地上業務に従事していました。飛行機が大好きでしたが、夢の区切りと決めていた30歳を迎えた5年前、家業に入るため徳島へ。

昔はひな人形といえば「七段飾り」が主流でしたが、今はお姫様とお殿様だけの「親王飾り」が人気。少子化や住環境の変化、伝統的な節句人形を選ばない時代…業界を取り巻く環境は厳しいのが現実。そこで麻野さんは全国の人形師とタッグを組み、現代のインテリアになじむデザインや、コンパクトサイズが特徴のひな人形ブランド「結縁(ゆかりドール)」をプロデュース。節句人形を買いにきたママからは「自分の分も欲しくなる」と好評です。

三代目社長で父の忠昭さん(65)と、従業員のために昼食を用意する母のこずえさん(65)は、夫婦そろって陽気で人情味あふれる性格。常に笑いのたえない愉快な家族です。

ある日、家に人形を飾ったイメージをしやすいよう、店内のディスプレイを変えるべく初めてDIYに挑戦した麻野さん。工具の使い方もわからないまま、勢いで木を切ってみると、当然長さがたりず…。ちょっぴり不器用で、ときどきロマンチストな四代目。創業108年の歴史、衰退化する節句文化を未来へつなぐため、奮闘する日々を追いかけました。

編集後記

ディレクター:森﨑 菜月(四国放送)

 私が子どものころのひな人形は七段飾りでした。桃の節句が近づくと、家族で飾り付けをするのが楽しかった思い出があります。なかでも、太鼓や笛などさまざまなアイテムを持った「五人囃子(ばやし)」が好きでした。童謡「うれしいひなまつり」にも、五人囃子が登場しますが、今の子どもたちは実際に見たことない…というでしょう。人形を製作する工房のスタッフによると、五人囃子や三人官女をつくる技術の継承が問題になっているそうです。時代はお姫様とお殿様だけのコンパクトな人形を求めていますが、「節句人形は盛大に飾って、お祝いしてほしい」というのが、忠義堂人形店の若き四代目・麻野さんの本音です。

 麻野さんは、おちゃめでコミカルなキャラクターですが、創業108年の歴史に、人形業界が直面する厳しい現実…背負っているものは私たちが想像する以上に大きいはずです。
しかし、私が着ている柄物のシャツを見て、ひな人形の衣装に活かせないかと興味津々に尋ねてきたり、ふと入った飲食店の内装を見て、人形の台や屏風のヒントにしたりと、常に人形のことを考えてアンテナを張り巡らしている、熱い人です。

今回の番組では、初節句を迎えたかわいい子どもたちがたくさん出演してくれています。その子どもたちが大人になって、自身の子どもが生まれたとき、また、忠義堂人形店に戻ってきて伝統的な人形を選んでくれたらと願います。

番組情報

忠義堂人形店
【電話】0883-42-4147
【HP】人形問屋 忠義堂 https://www.chugido.com/
【忠義堂人形店SNS】https://www.instagram.com/chugido4147?igsh=cTd5ZTVic2c1dzV3
【結縁SNS】 https://www.instagram.com/yukari.doll?igsh=MWZnYmFhZ3gwbHBteQ==

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