#464 タンブリング ~マイナー競技で世界へ~

2026年04月25日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 琉球放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

「タンブリング」という競技を、ご存じでしょうか。

体操とトランポリンの要素が入ったこの競技は、約25mの弾む床の上で、8つの跳躍技を連続して行うスピード感とダイナミックさが魅力の競技です。しかし非五輪競技ということもあり、その認知度は低く、国内の競技人口はわずか数百人。体操やトランポリンの活躍にも押され、「タンブリングの日本代表は“へぼい”」といった、心ない言葉を受けることもある超マイナー競技です。

そんなイメージを覆そうと、19歳から日本代表として活躍し、沖縄県うるま市を拠点にトレーニングを重ねる又吉健斗さん(25)。2022年のワールドカップでは銅メダル(日本人初のメダル)を獲得するなど、日本タンブリング界を引っ張ってきました。

世界で活躍する健斗さんでも、練習場所は築30年以上の元倉庫。遠征費はいつも自腹です。そんな環境でありながら、子どもたちが胸を張って「タンブリングの日本代表です」と言える未来を作りたいと奮闘を続けています。しかしそんな時、同じく日本代表として切磋琢磨してきた親友・草ヶ谷剛さん(27)が、ある挫折を抱え地元静岡から沖縄へやってきました。そして健斗さんにもある不安が…。

マイナー競技ゆえのさまざまな壁や、世界と戦う競技者ゆえのプレッシャーとも戦いながら、父・健一さんや、当初は体操嫌いだった母・ゆきのさんに支えられ、競技人生の最後と位置づけるスペインでの世界選手権に挑む健斗さんと剛さん。スペインで2人が記録し続けた映像には、その友情と、タンブリングに人生をかけた集大成の思いが詰まっていました。

 

編集後記

ディレクター:下地麗子(琉球放送)

一見華やかで明るい印象を持たれるスポーツ界。
しかしそこには、メジャーかマイナーか、一番手か二番手か。トップクラスになればなるほど、格付けのような厳しい視線にさらされる現実があります。「タンブリング」の国内の競技人口はわずか数百人。まさにマイナー競技の象徴のような競技に取り組む選手たちは、そんな厳しい現実に度々ぶつかってきました。練習場所も強化予算も少なく、国内では体操やトランポリンと比べられ、世界に出れば「レベルが桁違いでボコボコにされる」だけでなく、放送では紹介できないような言葉で嘲笑を受けたこともあったそうです。

そんな環境でも今回の主役・又吉健斗さんと親友の草ヶ谷剛さんは、国際大会(遠征費はほぼ実費)のたびに海外選手の演技を盗み撮るようにスマホやカメラに収め、技の瞬間の体の動きなどを研究し切磋琢磨してきました。健斗さんは、人を楽しませる“余興”が大好きで、サーカスのように“人をドキドキさせる”魅力があるタンブリングに対して天性の素質を持ちます。しかし日本代表という地位を大事にするあまり、自身に強いプレッシャーをかけてしまう、そんな繊細な一面も持ちます。

一方そんな様子を兄のように見守ってきた剛さんは、ある壁にぶつかり、「二番手」「(健斗)じゃない方」といった言葉で自身を表現しますが、「誰が何と言おうと2人でやっていく」と日本代表としての決意を語ります。そんな2人がスペインでの世界選手権の様子を撮影した映像を見たとき、私と担当カメラマンは驚かされました。その映像には、どんなに取材歴やカメラ技術があっても撮影することはできない、2人の空気感だからこそ撮れる、素の表情と競技への愛が詰まっていました。

私たちは当初考えていた番組構成を変えて、2人が撮ってきた映像を大切にしながら、今回の番組を編集していきました。“健斗さんだけ”でも“剛さんだけ”でも作ることはできなかった番組です。2人が共に戦って輝かせ合ったからこそ、タンブリングの魅力と人間臭さがつまった番組となりました。「結果が全て」とも言われるプロスポーツの世界ですが、結果以上に「努力してきた過程」が選手たちの人生を豊かにすることを改めて教えてもらいました。

これから健斗さんは沖縄で、剛さんはイギリスで、タンブリング指導者としての研鑽を積みます。「日本代表をめざす子どもたちの未来のために」と奮闘を続ける2人。その姿が、これからのタンブリング界に明るい変化をもたらす、そんな未来を信じています。

番組情報

スポーツクラブKENKEN
【ホームページ】https://www.kenken-oki.com/

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