#467 つなぐ光 ~200球から始まった軌跡~

2026年05月16日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 山梨放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

舞台は、過疎化が進む山梨県の小さな地域。山あいにある身延町(みのぶちょう)西嶋地区。かつては子どもの声でにぎやかだったこの場所も、今では人口は減り、空き家も増えてきました。でも冬になると雰囲気は一変。とても華やかに、にぎやかになります。その正体はイルミネーション。

500メートルほど続く“イルミ街道”には、10メートルを超える高さのツリーや、富士山をかたどった電飾、ペットボトルを再利用した飾りまで、手作り感であふれています。これらはすべて、住民の手で飾りつけ。しかも飾っているのは、平均年齢70歳の方たちです。準備には1か月以上をかけ、休日も返上、朝から夕暮れまで1日がかりの作業です。でもいつだってみなさんは楽しそうで、地域には笑い声が響いています。

この「西嶋イルミネーション」が始まったのは、町内会の会長・佐野昭男さん(82)が孫に喜んでほしいと自宅を飾ったことがきっかけです。その光景に「みんなでやろうよ」と西嶋地区の人たちが賛同。200球から始まった飾りは、今では15万球以上になりました。

電飾の費用も電気代も、みなさんの自己負担。そこまでして飾り続けているのは、「誰かが喜んでくれることが、自分たちの喜びになる」から。
病気で落ち込んでいた人が、このイルミネーションを見て元気になったり、恋人同士で来ていたのが、いつしか夫婦となって訪れたりと、多くの人の思い出の場所になっています。自分たちが飾るイルミネーションが、誰かの元気の源になったり、大切な場所になっている。この光を楽しみに待ってくれている人たちのことを思い、光をともし続けてきました。

西嶋イルミネーションの25年の歴史の中には、コロナ禍での中止、仲間との別れ、たくさんの苦楽がありました。
小さな地域で、みんなと一緒につないできた光。その輝きの軌跡をたどります。

編集後記

ディレクター:植松 楓(山梨放送)

西嶋の方たちに出会ったのは、10年前の2016年。ローカルニュースの取材でお邪魔したことが始まりでした。「なんて温かい人たちなんだろう。おもしろい場所だな」。そう思い、翌2017年、飾りつけの様子を取材させていただくようになりました。

平均年齢70歳なんて信じられないほどに、みなさんがパワフル。そして冗談とダジャレばかりが飛び交い、笑い声が絶えません。飾りつけは朝から夕暮れまで一日がかり。片道500メートルほどの範囲を、一日1万歩以上歩きます。私がへとへとなのを横目に、坂道を軽くのぼっていく地元の人たち。衝撃でした。

「佐野」「望月」の姓が多い地域なので、みなさんが下の名前で呼び合います。お昼時になれば、集会所で、みんなでテーブルを囲んで食事。まるで大きな家族をみているようでした。人とのつながりが希薄化している今この時代に、人との交流を大切にする地域があるということ、こうした温かな場所があること、西嶋の人たちの魅力を伝えていきたい。それから毎年、取材にお邪魔させていただくようになりました。

取材を始めて10年。台風で庭の土砂が崩れ、電気代は高騰し、コロナ禍で中止になり。なんだか毎年、苦労を抱えながら飾りつけをしていたと思います。そして2025年には、さみしい別れもありました。毎年当たり前のように顔を合わせていたことが、どれだけ尊く大切な時間だったのかと、感じさせられました。25年も続くイルミネーション、高齢化も進んでいます。みなさんがいつまでも元気に飾りつけができるわけではない。そのさみしさを感じてしまいましたが、だからこそ、今目の前にある温かな日常と、笑い声が絶えないこの光景をしっかり撮り続けて、つないでいきたい。そう思いながら取材をしてきました。

イルミネーションの発起人で、町内会の会長を務めた佐野昭男さんは、最後のインタビューで、「こんな地域は他にはない。これからが楽しみで、安心して暮らしていける」と、感謝の気持ちと、次の世代への期待を話してくれました。かつてこの地域で暮らしてきた人たちが、昭男さんたちにその時代を引き継いだように、世代が変わり、地域がつながっていくその瞬間を見ることができました。
最後に話をした昭男さんの穏やかな声と優しい笑顔から、これからも西嶋に続いていく温かな未来が、私にも見えた気がします。
「つながっていく光」を、私もできるかぎり、この場所に通い、伝え続けていきたいと思います。

番組情報

身延町 西嶋イルミネーション 公式インスタグラム
@nishijimailumi
https://www.instagram.com/nishijimailumi/
担当:望月 天(もちづき・たかし)さん

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