今回は、徳島県南部の小さな漁師町「伊座利」(いざり)の絶品刺身料理を紹介します。
人口は100人足らず、スーパーもコンビニもないこの集落に土日となれば県内外から
多くのお客が訪れる食堂があります。その名は「伊座利カフェ」。お目当ては『刺身定食』です。魅力は何といってもボリュームの多さ、まさに「てんこ盛り」です。朝、目の前の海ででとれた魚介類をさばいてくれるので、新鮮さはこの上なし。
これで900円とは驚きです!
カフェは地元漁協と町おこしグループの有志で立ち上げ、運営しています。
スタッフは地元漁師のおばちゃんたち。プロの漁師だからこそ魚のおいしい食べ方をよく知っています。ブリにハマチ、ヒラメなどその日水揚げされたものを目利きのおばちゃんが品定め。シラスやイセエビなど思わぬ収獲があった時には、特別メニューが追加されます。それもこのカフェの魅力です。
海の幸が豊富な伊座利で、漁師のイチオシ料理が「ブリしゃぶ」。
ブリの刺身をこんぶダシの効いた湯にさっとくぐらせていただきます。
程よい脂身で、魚本来の風味と食感が食欲をそそります。取材の日は、住民が集まって近所の子どもの誕生会を開きました。この縁起のいい「出世魚」を食べながら、ブリのように立派な大人に育って欲しいとみんなで願いました。
伊座利の絆は強い。住民同士はまるで家族のよう。
その伊座利に魅せられ、東京からは会社員の女性が一人でやってきたり、子ども連れで移住してきた若い家族も増えています。
「何もないけど、何かある」伊座利には、過疎に悩む集落の足元を照らす、一筋の光がさしていました。
食文化でつながる、漁師町の「絆」に学びます。
編集後記
ディレクター:濱田 康裕(四国放送)
今回の取材の舞台は人口100人足らずの小さな漁師町でした。
これまではほとんど足を運んだことのなかった場所でしたが、取材を通じて感じたことは、どうにか過疎を食い止めなければならないと住人自らが積極的に動いていること。
「行政に頼ってばかりでは 過疎は食い止められない。
自分たちもできるかぎり動く」と住民は言います。
Cafeもそのひとつ。何もない漁師町にどうしたら人が集まってくるだろう。
それなら目の前でとれた新鮮な海の幸を、ふんだんに、それもお手軽な値段で提供しよう。
今回紹介した「刺身定食」はそうやって誕生したのです。
魅力ある町には人が集まる、また移住してくる人もいる。
県外にも過疎に悩む集落はたくさんあるなか、住人の強い思いや、人の絆を大切にすることで未来は開けていくのだと実感できた取材でした。
番組情報
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イザリCafe
【住所】徳島県海部郡美波町伊座利301-2
【電話】0884-78-1186