
世界自然遺産「白神山地」のある青森県はブナの蓄積量日本一。しかし、ブナは古くから使い道のない木とされてきました。ブナは水分を多く含み、乾燥させて使っても狂いが大きい木なのです。
青森に豊富にあるブナを活用するために生まれた技術「ブナコ」。

厚さ1ミリのブナ板を細長いテープ状にして使うことで、弱点を克服しています。テープ状のブナ材を隙間なくコイルのように巻きつけ、一層ずつずらしていってボウルの形状に成型。
なんと使うのは湯呑茶碗。まさに職人技。
創業から食器のみのラインナップで展開していたブナコ株式会社は1998年頃売り上げは激減、倒産の危機に。なんとか売れる商品をと模索をしていると社長の倉田昌直さん(61)がブナコでランプを作ることにひらめきます。
さらにブナ材は光を当てると他の木材より赤く光ることに気がつきました。ランプは人気となり、業績はV字回復します。
今年度、ブナコ株式会社には2人の新人が入社。ベテランのもとで一生懸命学びます。1人はモノづくりの夢を追い、もう1人は家族を支えるために手仕事の道へと転職をしてきたんです。必死に腕を磨く姿を追いました。2016年1月にパリで行われる欧州最大級のインテリア&デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展が決まるブナコ。新作のランプの成型に抜擢されたのは新人。難しい形状に悩みながらもなんとか完成させます。
完成したランプを見た社長は・・・
青森で生まれて、青森から発信され続けるブナコに迫りました。
編集後記
ディレクター:平井 和真(青森放送)
青森県は白神山地以外にも岩木山や八甲田山などすばらしい山がたくさんあり、青森にいると割と見ることが多いブナ。そんなブナが建築材としてあまり価値がない木とは取材するまで知りませんでした。
そんなブナから作られたブナコ。取材前はオシャレだけど高価な食器だなという印象を持っていました。ところが、地道に1つ1つ手作りしていて、各工程にいる職人が技を駆使することで1個の製品が出来る。これを見て少々高価なのも納得。単純にこのひたむきに作る姿を伝えようと思いました。
津軽人はシャイで多くを語らない人が多いです。でも実はアツい人が多く、職人や社長も同じでした。「ここ弘前で生まれた技術(ブナコ)なので、発信はここ弘前から」という倉田社長の言葉。みな津軽が好きで、弘前生まれのブナコを作ることに誇りを持っていることに気づきました。
その中で奮闘する2人の新人。伝統工芸の高齢化が進む中、ブナコ株式会社は社員平均年齢46.3歳と若いんです。津軽で生まれた技を身につけたい。そして田舎のここ青森から世界へ挑戦する社長の気質に着いて行く方ばかりです。
今後も「BUNACO」ブランドの快進撃は続きます。メイドイン津軽はこれからも世界に灯りを灯し続けることでしょう。
番組情報
◆ブナコ株式会社
【住 所】青森県弘前市豊原1-5-4
【電 話】0172-34-8715