
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町。全国からの支援などにより、震災の翌年から仮設でオープンしたのがさんさん商店街です。
飲食店、鮮魚、精肉、文房具、電気、衣料品、床屋など地元で長年商いを営んできた店が軒を連ねています。
2014年3月には、力強い集客力で復興をけん引していることから、経済産業省に表彰されるなど、復興商店街では一番の賑わいをみせる商店街となりました。

ここでシンボル的な存在になっているのが、商店街にある5つの飲食店の共通メニュー「南三陸キラキラ丼」です。豊富な海の幸を活かし、季節ごとの味を楽しめる丼で、多くの観光客がこれを目当てに訪れます。
もちろん地元客にとっても、暮らしの支えで心の拠り所のにもなっている商店街。
しかし仮設商店街は今年いっぱいで閉鎖され、来年3月には、新たにかさ上げした場所で仮設ではない商店街が作られる予定です。

しかし、新しい商店街ができるからっといって嬉しいことばかりではありません。移転費用や、人口流出が続く町の現状などを考えると不安も出てきます。
商店街の若きけん引役である料理人の菅原さんも、新商店街行きを迷っていました。
揺れ動く彼の決断は・・・。
町の復興にとって、まさに「エンジン」となってきた商店街。誰もがなくなってしまう事を望んではいません。「南三陸さんさん商店街」の今を見つめる事は、商店街が本来もっているチカラを再認識し、東日本大震災から6年目の今を見つめる事でもあります。
編集後記
ディレクター:松本 豊樹(プライド・トゥ)
弁慶鮨の取材では、あまりのお昼の忙しさに、カメラを回すのが申し訳なく、茶碗洗いを手伝ったのですが、お客さんと食器の多さと回転率のよさに、驚きました。仮設の店内で、食器を置く場所が少なかったり、夏は暑く、冬は寒いなどの悪条件も感じさせないほどの店主の頑張り・笑顔がそこにはありました。菅原賢さんのお母さんの食器洗いの速さには脱帽!撮影はできなかったのですが、食材が足りなくなると、商店街内の店にお願いして足りない食材を補うなどの場面もありました。32の店が集まっているからこその光景です。そんな助け合いもある商店街でした。来年3月には、新しい商店街ができます。今後も取材を継続し、新たな町の姿を通して、震災復興を発信していきたいと思います。