#66 下町パワーで世界に挑戦!夢の台風発電

2016年10月23日(日)(テレビ朝日放送) テレビ朝日制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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3000軒もの町工場が立ち並ぶ東京都墨田区。
そんな町工場の一角で、とある開発が進められていました。それは、台風のエネルギーを使って発電ができるという世界初、驚きの風力発電機。開発者の清水敦史さん(37歳)は、かつては電気機器メーカーで研究開発の仕事をしていました。東日本大震災の原発事故でクリーンエネルギーの開発の必要性を感じ、株式会社チャレナジーを設立。
会社があるのは、金属加工会社の浜野製作所内の、ガレージスミダと名付けられた施設です。
ここは浜野製作所の職人と共に、清水さんのアイデア
をスピーディーに形にできる場所。

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私たちは、開発がスタートした2015年の2月からチャレナジーの開発に密着し、1年半に渡りその姿をとらえてきました。最初はノートに描かれていた設計図が、徐々に実験機として形になっていきました。
今年からは実際に台風にぶつけるテスト機の製造を開始。しかし、前人未到の「台風発電」、設計図の作成から部品の製作、組み立て…。その過程は想像をはるかに超える大変なものでした。

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しかし清水さんの挑戦には、時間が経つにつれ沢山の仲間や協力者が増えていきます。沢山の町工場の力を集結させ、ついに8月、沖縄県にテスト機が完成しました。そしてようやく迎えた台風シーズン。果たして夢の「台風発電」の実験は成功するのか…。下町発の、開発物語です。

編集後記

ディレクター:市村 奈穂(ViVIA)

「世界で初めての風力発電機を造っている奴らがうちにいる―」

東京・墨田区の町工場、浜野製作所の社長からそんな話を聞いたのは、2015年1月のことでした。工場の一角には、起業家を技術支援する施設「ガレージスミダ」があり、後日訪ねてみると…。ここで世界に打って出ようと起業した、株式会社チャレナジー・CEO、清水敦史さんの姿がありました。彼が手描きの設計図をもとに開発を進めていたのは「垂直軸型マグナス風力発電機」なるもの。“マグナス力を利用したプロペラの無い垂直型の風力発電機”だと説明を受けたものの、あまりにも難しく、私にはなかなか理解できませんでした。しかしこの風力発電機、なんと「台風の強大な力を利用して発電が出来る」というのです。そんな夢のような清水さんの話に興味を持ち、我々の密着取材はスタートしました。

去年の春、まずは清水さんが考えたシステムを、浜野製作所の職人技で形にする作業。そうして実験機を造り、テストを繰り返すという地道な作業が続きます。清水さんの第一の目標は、毎年強い台風が訪れる沖縄県に、発電機を設置することでした。世界で誰も造ったことがない、前人未到の開発。それだけに何もかも、簡単にはいきません。思わぬ失敗もあれば、壁にもぶつかったりの連続でした。それでも夢に向かって突き進む清水さんの周りには、どんどん仲間が増えていきました。共同経営者となった宮﨑さん、小山さん。いくつかの有名企業も協力したいと名乗りを上げました。沖縄県からは、実験用に是非土地を使ってくれという人まで現れたのです。
そして今年5月、沢山の支援を受けながら苦労して作り上げた設計図をもとに、各町工場が発電機の部品作りを開始。とうとう7月末には、その部品が組み立てられ、沖縄県南城市に実験用の発電機の設置が完了しました。現在チャレナジーのメンバーは沖縄県で台風を待ち受け、テストを繰り返し、データ収集を重ねています。これがいずれ商品化をする時の鍵となります。

およそ1年半の取材を通して感じたのは、前例のないものの開発がいかに大変で、手間や時間のかかるものなのかということ。そして何より、設計から完成までのすべての工程や部品一つ一つに、数えきれないほど多くの人々の技術や思いが込められていることに、驚きと感動を覚えました。

「夢の台風発電」。これからもこの開発物語に、注目です!

番組情報

◆株式会社チャレナジー
【住 所】東京都墨田区八広4-36-21ガレージスミダ
【H P】http://challenergy.com

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