
山梨県甲府市にある山梨遺品整理センター株式会社。社長の奈保美さんは亡くなった人の遺品の整理や家の片づけなどをする遺品整理士です。遺品整理は残された家族にとって体力的にも精神的にも負担が大きいもの。また高齢化や核家族化などを背景に、家族で作業をやりきれないというケースが増えているのも現実です。こうした中、家族の気持ちに寄り添いながら、笑顔で明るく作業するのが奈保美さん流。そんな彼女の姿に依頼者も元気をもらい、自然と笑顔になっていきます。

また奈保美さんは新たな取り組みにも挑戦しています。それが「新しい遺品整理のカタチ」と題したイベントです。家のオーナーの協力を得て、きれいに遺品整理をした空き家を開放。リサイクル品として使える電化製品や家具などを自由に買い取ってもらい、売上金はすべて家のオーナーに渡します。山梨遺品整理センターには利益はありませんが、まだまだ使えるものが処分されてしまうのはもったいないという思いから生まれたアイデアです。またイベントでは同時に空き家自体も販売。全国ワーストの山
梨県の空き家対策にも一役買おうと考えています。

今、需要が高まっている遺品整理士の仕事ぶりを紹介しながら、高齢化や孤立死、空き家問題など現代社会が抱える問題を見つめます。
編集後記
ディレクター:深澤賢吾(山梨放送)
「遺品整理」というと亡き人への思いもあり、しんみりとしたイメージを持つ方が多いかも知れません。でも今回の主人公・遺品整理士の奈保美さんの魅力はその飾らない性格と、周りの人たちを元気にする素敵な笑顔です。遺品整理は「お客さんの家族になったつもりでやっています」と奈保美さん。依頼者の心に寄り添う誠実な姿勢が、止まっていた家族の気持ちを動かします。
「家族の遺品や空き家になっている家をどうするのか」、あるいは「将来、自分の遺品はどうなるのか」。高齢化や核家族化が進む今の社会において、遺品整理は多くの人たちにとって身近なものであると同時に、不安に思っていることの1つかも知れません。今回の番組でリアルな現場の様子やご家族の声をお伝えすることで、遺品整理について考えるきっかけになってもらえたらと思っています。