#238 走れ!夢をのせた車 ~北海道・広がるやさしさの輪~

2020年10月31日(土)(テレビ朝日 放送) 北海道放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

北海道・旭川市に、世界で1台だけのタクシーが走ります。車体には、大雪山や旭橋などのマチの風景、そしてタクシーの絵が。描いたのは、青山雄一さん35歳。自閉症スペクトラムという障がいがあります。本格的に絵に取り組み始めたのは、8年ほど前。青山さんが通う障がい者福祉サービス事業所の理事長・野々村雅人さんは、独特なタッチの絵に引き込まれたと言います。「繊細でやわらか。温かみがあって、やさしい気持ちになる」。絵には、青山さんが子どものころから大好きだというタクシーも必ず描かれていました。

「だったら本物のタクシーに絵を描こう。青山さんの夢を叶えよう」。
事業所のスタッフの呼びかけに、地元の企業や学校も支援に加わりました。そして去年10月、青山さんにとって最高のキャンバスが用意されました。本物のタクシーです。青山さんの夢を聞きつけた地元のタクシー会社が、車を提供してくれたのです。タクシーに描くのは大好きなタクシー。「本人に『良かったね』というと、『はい』とか言うくらいなんですけど」と、母親の弥生さん。「きっとたくさんの人のチカラでできたこと。雄一の絵とみんなのつながりができて本当に良かったと思います」。青山さんを支えてきた事業所の野々村さんは笑顔で話します。「会話だけがコミュニケーションではない。青山さんが絵を通じて伝えてくれることによって、ますます広がりを持っていくような気がしてならない」。

今年9月、青山さんは2台目のタクシーにペンを走らせていました。「人を描いてみるかな。楽しいかも。笑っている人の顔を描く」。夢と笑顔をのせたタクシーが、また1台、北のマチを走ります。

編集後記

ディレクター:米谷 恒(北海道放送)

「♪エキゾチ~ック! ジャパン!」。歌いながらポーズを決める、青山雄一さん。「♪チョークが飛んできた ハイスクールララバイ」。自閉症スペクトラムという障がいがありますが、歌詞も見ずに歌いあげます。なかでも、青山さんがマチを歩いている時に、ふと口ずさんだオリジナルソング「♪星のマークの金星ハイヤー」は秀逸でした。歌と大好きなタクシーが融合した、まさに“青山ワールド”。番組の重要なシーンのひとつになりました。

一方、「夢をのせた車(タクシー)」も、取材中に大きな展開がありました。青山さんが初めてタクシーに絵を描いたのは、去年の秋のこと。ところが取材を進める中で、今年8月、2台目のタクシーに挑戦する話が持ち上がり、9月の製作開始にこぎつけたのです。私たち撮影スタッフにとって想定外、かつこの上ない展開となったのは言うまでもありません。

番組は“コロナ禍”の影響で、今年4月からおよそ3か月間に及び取材を自粛、放送日も当初の6月から10月に延期を余儀なくされました。しかし「禍を転じて福と為す」とはよく言ったものです。7月から9月にかけて番組の核になる取材ができました。青山さんから広がる、人と人のつながりに感謝するばかりです。

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