#257 えがおのスイートポテト

2021年05月15日(土)(テレビ朝日 放送) 静岡放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

静岡県静岡市に今年2月、行列のできるお店「ももぞの」が誕生しました。大人気のスイートポテトは、地域の人々を虜にしています。しかし、そのスイートポテトは一度町から姿を消していました。もともとは、桃園菓子店という約80年続いた和菓子屋さんにあり、二代目の鈴木一男さん(78)が生み出したもの。しかし、一男さんは年を重ね、思うように働けなくなり、一昨年の暮れに看板を下ろすことに。
その光景を黙って見ていられなかったのが、一男さんの次男と結婚した葉さん(42)。地域に愛されてきた味を守りたい…そんな思いで、お菓子作りは素人ながら、店を継ぐことを決めました。

葉さんは、お店が再びできる間に、洋菓子店や製菓学校でお菓子作りの技術や知識を学び、力をつけていきます。一度は引退を決めた一男さんや夫・章充さん(43)も彼女を支え、家族全員でスイートポテト復活へ向けて奮闘します。

桃園菓子店が閉店して1年。家族3世代で住む家と新たなお店を兼ねた建物が完成。昔の味を取り戻すため、葉さんは一男さんと二人三脚で試作を始めます。しかし、一男さんが感覚で作ってきたスイートポテトを再現するのは、簡単ではありません。卵や粉のわずかな量の差が味に大きな違いを生み、なかなか思い通りの味にたどり着くことができないのです。さらに、味への認識の違いが壁に。一男さんの感覚を数値化してズレのない味を作りたい葉さん…感覚が大切だからこそ多少の味のズレは気にしない一男さんとの違いに気づき、頭を悩ませます。それでも、二人三脚で昔の味を目指し続けます。
壁を越え、地域に再びスイートポテトを届けたとき、町の人々、そして葉さん一家から、どんな表情や言葉が生まれるのか。昔ながらの味が日に日に消えていく昨今、地域に愛されてきたたものを残す大切さを見つめます。

編集後記

ディレクター:相馬 慶恒(静岡放送)

「お菓子を買いに来るときに、嫌な気持ちで店に来る人はいない。だからそういうお客さんの顔を思い浮かべてお菓子を作っている。」

取材を始めたころに、鈴木葉さんに言われ、一番心に残っている言葉です。取材を思い返すと、葉さんはどんなときもお客さんを一番大事にしていたように思います。それを最も感じたのが、新しい店で一男さんと試作をしているときでした。長年の職人生活で培ってきた感覚で今までスイートポテトを作ってきた一男さんは、ある程度味にズレが生じることを気にせず、何度も「こんなもんじゃない?」「そんなにこだわらなくてもいいんじゃない?」という言葉を発していました。それに対して葉さんは「お客さんは毎回そこの味としてお店に来るから、毎回ズレてしまうのもどうかなと思う」と、一度も妥協することなく、一男さんを鼓舞して昔の味だと納得できるまで試作を続けました。

試作のほとんどの日を見てきて、卵や粉の少しの配合の違いが味や食感に出るお菓子作りを極めるのは並大抵のことではないと思いました。お客さんにまた喜んでほしいという強い思いをもつ葉さんだからこそ、地域に愛されるスイートポテトをまた作ることができたのではないかと思います。

この「えがおのスイートポテト」は葉さん一家のお客さんへの思いが詰まっています。地域に再び昔の味が届けられ、笑顔が生まれる瞬間をご覧いただき、心温まる30分になれば幸いです。

番組情報

ももぞの
【住所】静岡県静岡市葵区鷹匠2-23-11
【営業時間】9:30 ~(売り切れ次第終了)
【定休日】日曜日・祝日・不定休
※ 店頭販売のみ
スイートポテト170円(消費税込)

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