#276 リアル THE 島暮らし ~山形の離島…飛島~

2021年09月25日(土)(テレビ朝日 放送) 山形放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

定期船で酒田港から1時間15分。日本海に浮かぶ山形県唯一の離島、飛島(とびしま)。人口約170人、平均年齢71歳。子どもは1人もいません。そんな過疎の島に若者たちが移住、2013年に会社を立ち上げました。「合同会社とびしま」。島暮らしを求める若者に働く場所を提供するための会社です。観光業、加工業、サービス業、インフラや景観の保全活動など、あらゆる仕事を生業としています。

現在、メンバーは8人。Uターンが2人、Iターンが6人。平均年齢は33歳で、島民の平均年齢の半分以下です。「無人島になってしまう危機感」「飛島の暮らしや文化に興味がある」「何かを生み出したい人にとっては最高にエキサイティングな場所」…。若者たちはそれぞれの思いを胸に、移住してきました。

代表の本間当さん(40)は飛島出身。定期船発着所近くにあるカフェの担当です。旅館で出される飛島の料理と差別化するため、ピザやカレー、パスタなど洋食を中心に提供。「会社の目標は、社員を100人にすること。そうすれば、地域のコミュニティを維持できるから」…そこには、故郷をなくしたくないという強い思いがあります。

今年度も新入社員が入ってきました。大学を卒業したばかりの大阪出身、岡愛さん(23)。岡さんは2年前、移住体験で2週間ほど飛島に住んだ経験があります。当時は、「安く島に来れたので。移住する気はまったくなかった」と笑います。現在は、会社が3年前に引き継いだ沢口旅館で、住み込みで働いています。実際に移住してみると、想像していた「のんびりとした島暮らし」とはほど遠い現実がありました。

会社を立ち上げて9年目。飛島の人口減少に歯止めは掛かっていません。それでも彼らはあきらめません。地域と多様にかかわる人々=「関係人口」を増やそうと、SNSで飛島の魅力を発信する取組みもスタート。飛島に魅了された若者たち…島暮らしのリアルを見つめます。

編集後記

ディレクター:伊藤和幸(東北映音)

「山形県に離島があったの?」と、県外の人は驚くかもしれません。山形県唯一の有人離島・飛島(とびしま)。周囲が10キロほどの小さな島です。実は、県内に住む私にとっても遠く感じていた場所でしたので、取材で島に渡るたびにワクワク感がありました。定期船は11便(繁忙期は2本の場合あり)。1度渡れば1泊が基本です。海が荒れると容赦なく船は欠航となり、急きょ、延泊したこともありました。船が島に着くと、宿泊先の女将さんたちが、それぞれの旅館の旗を掲げて、お客さんを待ってくれています。その光景が「歓迎されてる!」という気持ちになり、いいんですよね。

そんな島に若者たちが移住し、8年前、合同会社を立ち上げたということで、県内では当時から話題になっていました。現在、メンバーは8人。これまで全国から延べ20人が移住しています。♪コンビニ無え バーも無え 船は一日一度来る♪そんな飛島に若者たちは一体なぜ移住するのか?その理由を知りたいと思ったのです。

実際に取材してみると、理由は一人ひとり違っていました。飛島出身者は、少子高齢化の波が押し寄せている故郷の未来を思い、大学を卒業したばかりの大阪出身の女性は、言わば“青春漂流”で、飛島に流れ着いたようでもありました。島の暮らしや文化に興味がある人もいれば、地域おこしに興味があって「未来の飛島をデザインしたい」と意気込む若者もいます。社員はそれぞれ自分の目的に向かって自由に働く。共通するのはただ1つ、飛島が好きなこと。そんな印象の会社でした。

島民は「住めば都」と、口々に言います。「プチ移住体験ツアー」で、まずは2週間、飛島に住んでみる。そうすれば、都会の喧噪では得られない、いろんな気付きに出会える場所なのではないかと思います。

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