#353 三代目は手袋DJ~東かがわを手袋職人の聖地に!~

2023年8月19日(土)05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 西日本放送 制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

日本一の出荷量を誇る手袋製造など、縫製業が盛んな香川県東かがわ市。引田(ひけた)という港町に創業84年の手袋メーカー「江本手袋」があります。スタッフ4人の小さな会社を切り盛りするのは、代表取締役の江本昌弘さん(53)。音楽好きの姉の影響で、聴くだけでなく、巧みに操り聴衆に聴かせるDJを始めて35年!自らを「手袋DJ」と名乗っています。

江本さんが2年前から取り組んでいるのは、高松市内の服飾専門学校で行う「手袋づくり講座」。東かがわ市に伝わる手袋の作り方を教えるだけでなく、生徒たちが考えたアートな手袋のデザインを江本手袋の職人たちが制作しています。

江本さんは、2016年に訪れた廃業の危機をきっかけに、地域で暮らす手袋職人を守り育てることを目指して、オリジナルの手袋やマフラーなどを扱う自社ブランド「佩(はく)」を立ち上げました。
江本さんが目指しているのは、東かがわ市を「手袋職人の聖地」にすること。地域の企業と連携した「ものづくり現場ツアー(オープンファクトリー)」に取り組むなど、手袋製造産地の観光資源化、メーカー発の地域活性化を目指しています。

江本手袋には、職人歴55年になる縫製職人の久米繁子さんや、2年前に入社した50年ぶりの新入社員、夏田観可子(みかこ)さん、江本さんの叔父でもある裁断職人の江本新一さんなど、個性派の職人たちが。
ものづくりに真正面から取り組み、手袋の未来を見つめる三代目DJの物語です。

 

編集後記

ディレクター:松村文彦(西日本放送)

私が主人公の江本さんに出会ったのは、20211月。ローカル番組の取材がきっかけでした。そのなかで縫製職人の久米繁子さんが「大切なお金を使っていただいて、買っていただいているので、お客さんに長く、気持ちよく履いていただけるようにと思って作っている」と語り、そばにいた江本さんが久米さんのことを「うちの宝物です」と、しみじみと語ってくれた場面がとても印象に残っています。

今回の舞台、香川県東かがわ市の人口は約28000人(2023年7月時点)。香川県の中で最も人口の自然減・社会減が大きい自治体で2045年には約16000人になると予想されています(出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」 )。

そういったなか、主人公の江本さんは、地域の企業とも連携し、手袋製造を通して夢のある場所「手袋職人たちの聖地」を作り出そうと取り組んでいます。
自社ブランド「佩(はく)」を売り出し、お客さんに買ってもらうことで、若手職人の育成だけでなく、地域にある手袋関連産業の存続にもつながります。
また、服飾専門学校との連携は、新たなアイデアの創出はもちろん、これまで就職先を求めて都会に流出していた若者が地域の産業に目を向ける機会にもなります。

そして、ロングヘアでワイルドな雰囲気にもかかわらず、お酒も、お肉も苦手な主人公の江本さん。音楽にのめり込んだのは、Stray Catsの「Rock This Town(邦題:ロックタウンは恋の街)」がきっかけだったとか。
18歳でDJをはじめた江本さんがたどり着いたDJとしての境地は、「瀬戸内に合う音楽」を提供すること。限られた時間のなかで江本さんの音楽観まで表現することは非常に難しかったのですが、少しでも瀬戸内で暮らす手袋DJ江本さんの生き方、見ている景色が伝われば良いなと思っています。

最後に、ことし11月には、番組でも紹介した「ものづくり現場ツアー(オープンファクトリー)」が、より多くの企業を巻き込み、江本手袋もその輪に加わる予定です。新たな取り組みによって、さらなる地域活性化やイノベーションにつながることを願っています。

番組情報

江本手袋株式会社
【所在地】〒769-2901香川県東かがわ市引田2724
URLhttps://www.emoto-tebukuro.jp/emoto-tebukuro/

※江本手袋の商品は、オンラインショップから購入できます。

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