#384 沖縄発!カラフル石鹸 ~前向きな彼女たちの生き方~

2024年05月25日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 琉球放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

近頃、沖縄を訪れた人であれば、どこかで見かけたことがあるかもしれない沖縄生まれのスキンケアブランド「Suisavon-首里石鹸」。看板商品は、沖縄由来の原料を使ったカラフルなボタニカルハンドメイド石けん。天然の顔料で作るマーブル模様が特徴的で、どこか沖縄の情景を感じさせます。
2016年の創業以来、土産品として観光客を中心に人気となり、沖縄県内では特に「母の日」の贈り物として広がりつつある。コロナ禍も売り上げを伸ばし、今では全国で25店舗以上を展開する「首里石鹸」。その起源は、コールセンター。2011年創業の株式会社コーカスはコールセンター事業からスタート。190人近い従業員のうち、約9割が女性というコーカス。そこで働く二人の女性が番組の主人公です。

一人目は、崎浜有佐さん(33)。二人の息子を育てながらコールセンター部門でグループの責任者を務めるシングルマザー。朝、1歳半になる次男の煉(れん)牙(が)ちゃんと慌ただしく出社する崎浜さん。コーカスは、従業員にとってより働きやすい環境を作ろうと2018年、社屋内に保育園を開所。従業員であれば、通常の半額程度で利用できるため、崎浜さんも利用しています。煉牙ちゃんを預け、足早にオフィスに入った瞬間、スイッチオン。責任者の顔に一変します。テキパキと仕事をこなし、盛り上げ上手でしっかり者の崎浜さん。キャリア採用で2020年入社、その半年後責任者に抜擢され、これまで走り続けてきました。しかし、子育てと仕事の両立に悩むことも。
そんな崎浜さんを支えたのは、会社が運営する保育園のほか、コーカス独自のユニークな制度。周囲のサポートを受け、前向きに働く崎浜さん、その原動力とは…。
そもそもコールセンター事業を展開する会社がなぜ、物販事業である「首里石鹸」を始めたのか。それは、かつてある女性従業員が産休前に社長に告げた一言でした。「社長、私戻ってきていいんですか?」土日や夜間に及ぶコールセンター業務。「復帰した後もこれまで通り働くことができるのか?」産休や育休など長期の休暇から復帰する従業員の不安を解消すべく、事業のもう一つの柱として仕事の選択肢を増やそうと始めたのが自由度の高い物販事業、「首里石鹸」。

もう一人の主人公は、2015年入社の座安よしみさん(54)。那覇市内の「首里石鹸」の店舗で店長を務めています。「お客様が増えると暑いからレジに扇風機を置いているんです」親しみやすく飾らないキャラクターは、アットホームな店舗づくりに欠かせません。過度に勧めることなく、お客様に寄り添うのが座安さんの接客スタイル。元々コールセンター部門に勤務していました。
しかし、電話を介したクレーム対応に精神的な負担を感じ、退職も考えていたころ、「首里石鹸」への異動を打診され今に至ります。50代を目前にしたキャリアチェンジ。「対面だと目の動きなどでお客様の考えていることが全部分かる。どうやったら喜んでもらえるか、自分たちの後押しを考えられるから楽しい」と話します。「首里石鹸」に勤務して6年余り、店長として日々奔走するなか、座安さんは、ある葛藤を抱えていました。
今話題の「首里石鹸」を取り巻く、前向きなふたりの女性の姿を見つめます。

編集後記

ディレクター:與那 啓(よなみね けい) (琉球放送)

「首里石鹸」との出会いは、コロナ禍だった。当時、観光客で賑わう那覇市の国際通りは、土産品店がPCR検査場になるなど、人通りも少なく、シャッターを下ろす店も増え、閑散としていた。そのタイミングで、通りの空き店舗に出店数を増やし、規模を拡大。オンラインショップも展開し、売り上げも好調に推移。勢いのある企業として取材をした。詳しく調べてみるとコールセンターを営む会社だったのだ。会社の理念は、「ためになるをする」。それは、「首里石鹸」誕生のきっかけにもつながる。

主人公のひとり、崎浜有佐さん(33)は、コールセンター部門の責任者でシングルマザー。「分刻みで動けるから楽しい!」と話し、仕事と育児をテキパキとこなす。社内保育園など会社の制度に支えられていたが、何より仲間への気配りをかかさず、責任者として組織作りにも熱心な崎浜さんの姿が「この人のためならサポートしたい!」と周囲を動かしているように感じた。崎浜さんは、まさに「ためになるをする」の理念を体現しているような存在だ。

もうひとりの主人公、座安よしみさん(54)は、那覇市内にある「首里石鹸」の店長。座安さんに接客されるお客様は、なんだか楽しくお買い物をしているよう。取材時も座安さんの誘い笑いにつられて、気づけばこちらも笑顔になっている。そんな彼女が「会社にとって、自分は必要なのだろうか」と葛藤し、涙し、それでも同僚に支えられながら前を向く姿に心打たれた。コールセンター部門から40代後半でキャリアチェンジを果たし、店長として奮闘する姿は、同世代の40代~50代で、ある程度キャリアを重ねてきた方々にとっては、共感できる部分もあるのではないか。

それぞれに悩みや葛藤を抱えながら、前に進もうとする人々の存在こそが、企業にポジティブな変化をもたらし、躍進へとつながっていくのではないかと考えさせられた。

一方、「首里石鹸」(コーカス)には、海外展開などさらなる飛躍を願いつつ、コールセンターのみの時代から続く、従業員同士が互いを認め合い、個人の成長につなげる文化が継承されていくことを期待したい。

番組情報

株式会社コーカス
【電話】098-886-7770
【会社HP】https://corcus.co.jp/

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